友禅とは
友禅という言葉は「糊で防染した、きもの模様の技法」 の意味であり、その技法の創始者と言われている宮崎友禅斎の名前がとられています。
また、手描き友禅は、その模様の輪郭をなす防線のための「糸目糊」が最大の特徴であり、美しさの生命線とも言えます。
加賀友禅とは
現代の加賀友禅には、その文様や色、そして伝統の技法について、 以下のようないくつかの特徴をあげることができます。
文 様 | ・ 絵画調 であること ・ 自然や古典をモチーフとしている |
配 色 | ・ 概して多彩 であること ・ 加賀五彩を基調とししていること ・ 古典の色調を伝承していること |
技 法 | ・ 下絵に青花を用いている ・ 絵画としての線を生かしている ・ 糸目糊の線に手描きの美しさが感じられる ・ 自然のままを象徴とする 虫食いや先ぼかしの技法が用いられている ・ 染色後の加飾(金加工や刺繍等)が少ない ・ 他の染色技法(ろうけつ、蒔絵、しぼり等)との混合が少ない。 |
きものとしての加賀友禅
現代の加賀友禅は、作家によっていろいろな雰囲気や特色をもった作品が作られています。
また、加賀友禅の独特の文様、色彩の特徴を模し、一部技法を省略し、合理化して廉価に量産されているきものは、 加賀調子のきものまたは加賀調と呼ばれ、加賀友禅とは区別して扱われています。
加賀調子のきものといっても、決して粗悪品というわけではなく、型友禅の技法が用いられているということであり、 一般には判別が難しいようです。
加賀友禅を見分けるための特質
加賀友禅は、その文様や色の特徴もさることながら、もっとも大切なことは、 それを実際に着た時にはっきりとした違いを感じられることです。 文章での表現は困難なものではありますが、しいて言葉にするならば以下のような点ではないでしょうか。
- きものとしての風格があり、着た時に何か心が和み、 粛々とした気持ちになる あたたかみがある
- 自然や伝統の文様をモチーフにしており、流行がなく、 あきのこないきものとして、保存さえ良ければ次の世代にも伝えていける
- 落ち着いた古風な文様や地色であり、年齢層の巾も広く、 主役のときも脇役のときも違和感が感じられない
- 決してきらびやかでも豪華でもありませんが、大勢の中にあってなぜか ハッとする美しさや心のときめきを感じさせてくれます
- 最初に着たときよりも、何度か着ているうちに少しづつ 愛着のわいてくるきもの
加賀友禅を選ぶにあたって、もっとも大切なことは、まず羽織ってみること、そして、 その嬉しさを実感するには、実際の場面で使ってみることではないでしょうか。
加賀友禅工房「長町友禅館」では、本物の加賀友禅を羽織ってみる体験ができます。 まずはぜひ一度その感覚をお試し下さい。
きもののお手入れになどについて
きものを着装のした後は、袖口や裾の汚れをふき取り、陰干しをしてから、 きちんとたたんで湿気の少ないところへ収納しましょう。
きものの着装やお手入れは、実際のところ大変ですが、着物のたたみ方を覚えることによって、 物を大切にする心を思い起こすことができるのではないでしょうか。使い捨ての商品が多い中、 自らの手入れや後始末が必要な着物文化は、心を大切にする和文化の象徴かも知れません。