かび対策・湿気対策

よく年一回の虫干しをとありますが、絹物の虫干しの実際は、かび対策が主です。

かびは徐々にではなく数日で繁殖し、その条件は高温多湿です。それを振り払う作業が、 特に梅雨時の晴れた日に必要とされる虫干しなのです。

昔からきものの保管に最適とされる桐のたんすは、高湿になりかけると隙間がなくなる特質があるので、 誠に理にかなった保存場所です。

湿気対策もさることながら、年に数回は虫干しを兼ねて帯結びのお稽古などをされたらいかがでしょうか。 ついでに、“お茶を一服”の安らぎの時があれば、自らの人生に思いを馳せる、幸せなひと時となるかも知れません。

汗・しみ対策

保管の前に袖口や衿(特に長襦袢の半衿は、その都度洗濯)の脂肪の汚れは、ベンジン等で軽くふきとる 手入れが欠かせません。

長年のがんこな汚れには、洗剤の中にある酵素の力を利用します。洗浄は、ぬらし過ぎないこと、ぬらした回りの ぼかしをしっかりすること、少し間をおいてぶらし等でていねいに部分洗いをする(強くこすって生地を痛めないこと) といったことに気をつけて行いましょう。ベンジン等油性の溶剤を使う時も同じです。

周囲のぼかしと生地を傷めない力加減が大切です、縮緬は、濡らせば縮むことは基本、別布にて練習してからに しましょう。

アイロン対策

誂え加賀友禅には、国産で最も高級な、長浜の変り無地縮緬が多く使用されています。 品質としては、撚糸、製織とも最高級品ですが、縮緬には、ねじった糸が使用されています。 ねじった糸はゴムのように伸び縮みをします。それは、肌触りが柔らかく、しわになりにくい特性を持たすためです。

しかし縮緬といえども、アイロンで堅く押した「折れ」は復元できません。又、絹は湿気を吸ったり吐いたりします。 蒸気では生地が縮みますし、かと言って水分のないアイロンがけはコゲの原因ともなります。

絹には、適度な水分が必要なので、当て布をしてその上から蒸気アイロンを軽くあてる方法が、 生地を縮ませない無難な方法です。